
オリンピックで1・2・3位になると、どうして金・銀・銅メダルが与えられるのか?
金メダルは本当の金でできているの? また入賞は6位までか8位までか?
最近のオリンピック競技大会では、個人種目であれ団体種目であれ、1・2・3位になった選手に話して金・銀・銅メダルとディプロマ(賞状)が与えられることになっております。しかし、古代オリンピックにおいては、メダルはなく、優勝者にオリーブの葉冠が授与されるだけでした。なぜオリーブの葉冠を優勝者に与えたのかといいますと、古代ギリシャ人は、オリーブの木はヘラクレスが常春の地から持ってきた神聖なもので、水のほとんどない地にも枯れることなく根をはやして育つからです。つまり不死の力をもったものの象徴として選ばれたと思われます。
古代オリンピックを模倣した近代オリンピックでもオリーブの葉冠だけで勝者を讃えようとしたのですが、それだけではどうかということになったようです。その結果、優勝者には銀メダルを与えることにしたのです。そのようなことから、1896年の第1回アテネ大会では、1位の選手には銀メダル、2位の選手には銅メダルが授与されました。
現在のように1位に金、2位に銀、3位に銅メダルを授与するようになったのは、1907年に開かれたIOC総会で決めてからで、それが実行されたのは1908年の第4回ロンドン大会のときです。それ以後、金・銀・銅メダルは各大会組織委員会が作成していたのですが、統一した方がいいのではないかということが持ち上がり、1928年の第9回アムステルダム大会のさい、IOCは大会組織委員会と組んで図案の公募をしました。このときに採用されたのはイタリア在住のジュゼッペ・カシオリの作品で、その図案は2000年の第27回シドニー大会まで使われました(次の2004年第28回アテネ大会から、メダルのデザインは改訂されました。今後はまた大会組織委員会が独自に作成することになります。参考までにいいますと、冬季大会のメダルは、各大会組織委員会が独自に作成しております)。
最近の『オリンピック憲章』の本則からは消えましたが、この金・銀・銅メダルについてIOCは、「メダルは少なくとも直径60mm、厚さ3mmであること。1等賞および2等賞のメダルは銀製で、少なくとも純度1000分の925の銀を用い、1等賞は少なくとも6gの純金で十分に鍍金されたものであること」と定めておりました。ということは、金メダルはすべて金でないことを意味し、銀にメッキしたものであることがわかります。なぜ金・銀・銅かといえば、金は銀よりも高価で、銀は銅よりも高価であるとの単純な理由によるようです。
執筆者:伊藤公(いとう・いさお)プロフィール
1935年生まれ。明治大学文学部卒。出版社を経て66年より日本体育協会・日本オリンピック委員会(JOC)に勤務。その大半を国際部門で過ごし、80年のモスクワ・オリンピック時は国際課長だった。91年、独立しフリーのオリンピック評論家に。72年の札幌冬季大会時よりオリンピックに携わり、現場での観戦・取材は夏季・冬季合わせて10大会に及ぶ。日本スポーツ学会(スポーツ・ネットワーク)運営理事、日本スポーツ芸術協会、日本オリンピック・アカデミー(JOA)各会員。共著・共編著は『オリンピックの本』(サイマル出版会、1986年)、『近代オリンピック100年の歩み』(ベースボール・マガジン社、1994年)、『ポケット版オリンピック事典』(楽、2008年)など多数。ネット情報は『モスクワ五輪ボイコットの真相』(http://blog.livedoor.jp/itoko2/、2005年11月1日〜06年3月17日 全137回)など。