オリンピックのシンボルは、どうして五輪マークなのか?
五輪マークは何を表わしているのか教えてください。
1896年のギリシャ・アテネにおける第1回オリンピック競技大会の終了後にIOCの2代目会長に就任した近代オリンピック復興者のクーベルタンは、オリンピックを名実ともに独立させることを画策していました。たまたま1914年はIOCが創立されて20周年になっておりました。クーベルタンはその記念式典のために、“オリンピックの旗”を考案し、パリのボン・マルシェ百貨店に私費で500本発注しました。このデザインが“五輪の輪”でした。クーベルタンがどこでその五輪の輪を見つけたのか、または考え出したのかは今もって定かではありませんが、現行の『オリンピック憲章』第1章第8条には“オリンピック・シンボル”の見出しのもとに、次のように記されております。
「オリンピック・シンボルは、単色または左から右へ青・黄・黒・緑・赤の5色で描かれた重なり合った5つの同じ大きさの輪(オリンピック・リング)からなる。輪は、左から右へ向けて重なり、青・黒・赤の輪の上に、黄と緑の輪は下に位置する。オリンピック・シンボルはオリンピック・ムーブメントの活動を表すとともに5つの大陸の団結、さらにオリンピック競技大会に世界中から選手が集うことを表現している。」
ついでに紹介しておきますと、5つの大陸とは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニア、アメリカ(北中米)のことを指しておりますが、どの色がどの大陸を表わしているということはありません。かつて「黄は黄色人種の多いアジア大陸、黒は黒人の多いアフリカ大陸を表わす」といわれたこともありますが、これは明らかな間違いです(1991年5月に来日したファン・アントニオ・サマランチ前IOC会長までもが、品川のホテルで、日本の子どもたちを前にそのように語ったこともあります)。しかし現在の『オリンピック憲章』第1章第8条の段階で、それを否定しています。
執筆者:伊藤公(いとう・いさお)プロフィール
1935年生まれ。明治大学文学部卒。出版社を経て66年より日本体育協会・日本オリンピック委員会(JOC)に勤務。その大半を国際部門で過ごし、80年のモスクワ・オリンピック時は国際課長だった。91年、独立しフリーのオリンピック評論家に。72年の札幌冬季大会時よりオリンピックに携わり、現場での観戦・取材は夏季・冬季合わせて10大会に及ぶ。日本スポーツ学会(スポーツ・ネットワーク)運営理事、日本スポーツ芸術協会、日本オリンピック・アカデミー(JOA)各会員。共著・共編著は『オリンピックの本』(サイマル出版会、1986年)、『近代オリンピック100年の歩み』(ベースボール・マガジン社、1994年)、『ポケット版オリンピック事典』(楽、2008年)など多数。ネット情報は『モスクワ五輪ボイコットの真相』(http://blog.livedoor.jp/itoko2/、2005年11月1日〜06年3月17日 全137回)など。






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